同一労働同一賃金日本郵便 大阪地裁判決

同一労働同一賃金
日本郵便 大阪地裁判決

日本郵便(株)の有期契約社員の同一労働同一賃金問題は昨秋、東京地裁では、年末年始勤務手当については「最繁忙期の勤務に対する対価で、非正規社員に支払われないのは不合理」であり正社員の8割相当、住居手当については「転居を伴う異動のない正社員にも支給され、非正規社員に支給されていないのは合理的ではない」であり正社員の6割を支払うとの判断を示したのは、昨年お知らせの通りです。
同様の訴えが大阪でも進んでおり、2月21日大阪地裁では、東京地裁判決と同様、労働契約法第20条を根拠として有期契約労働者に正社員と同一の賃金の支払いを命じました。詳しく見ると、年末年始手当と住宅手当については東京地裁で認めた正社員比との格差を認めず、年末年始手当は「年賀状の配達など繁忙業務に従事するのは契約社員も同じ」、住居手当は「転居を伴う異動のない正社員にも出ている」として正社員と同額の手当の支給を求めました。また大阪地裁は新たに家族手当(日本郵便では「扶養手当」)については、「職務の内容の違いで必要性が大きく左右されず、正社員と同様の扶養家族に対する負担が生じており、支給しないのは不合理」と指摘し、これも不支給を違法と判断しました。
地裁判断とは言え、「家族手当を有期契約社員にも同額を支給すべき」という判断については注意を喚起します。家族手当を支給されている企業は多いと思いますが、特に給与規定の記載内容を再検討し、労働契約法第20条(注)に沿った合理的な差の説明を新たに用意する必要があります。

注:(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。