フレックスタイム、事業場外労働、裁量労働での産後パパ育休中の就労 – 10月からの改正育児休業法対応 その5
前回7月30日PMP Newsに引き続き、厚生労働省、7月25日改定の改正育児休業法に関するQ&A関連の情報です。
今回は、フレックスタイム、事業場外労働、裁量労働の場合です。特に裁量労働の場合、産後パパ育休中に就労する間は裁量労働から外す必要があります。
注:Q&Aの番号 – 以下のQ6-12等 – は、今回参照している厚生労働省 「令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和4年7月 25 日時点)」のQ&Aの番号です。
なお、PMP Newsでは厚生労働省のQ&Aは一部抜粋の上、PMPコメントが付されていますので、オリジナルの厚生労働省Q&Aを参照されたい方は上記URLにアクセスしてください。
1.フレックスタイム
Q6-12:フレックスタイム制の適用される労働者に産後パパ育休中の部分就業を行わせるこ とは可能か。
A6-12:可能。
この場合、請求を行った労働者が現実に法第9条の5の定めるところに従って制度の利用ができている状態にしなければならない、としています。
具体的には、以下の何れかとなります。
①フレックスタイム制の対象としたまま産後パパ育休中の部分就業の対象とする。➡具体的には1)または2)となりますが、特に1)の場合は注意してください。
1) 事業主は、法第9条の5に定める手続に従って就業を命じるだけではなく、当該就 業が現実に同条の定めるところに従って行われることを実際に確保することが必要 。
・事業主は、同条第4項において特定される日時の範囲内で の始終業時刻の決定を労働者に委ね、実際に労働した時間はその就業日が属する清算期間における労働時間に算入するものとする。
・事業主は、必要に応じ業務内容の見直しや業務量の削減などを行い、労働 者が同項において特定される日時の範囲を超えて就業することがないこと及び当該 日時の範囲内で始終業時刻を労働者が決定できる余地があることを実際に確保する。
2)フレックスタイム制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行う 。
Q6-13:フレックスタイム制で産後パパ育休中の部分就業をする場合。
A6-13:例えばとして、以下のようなプロセスを紹介しています。
① 労働者が、就業可能な時間帯と就業可能な時間数の最大幅を示す
② 事業主は就業可能日時の外枠(その枠内で就業してよい範囲)のみ を示し、その枠内での始終業時刻は労働者の決定に委ねる。
注※1 労働者からの就業可能な時間帯の申出は、フレキシブルタイムに限定がある場合は その時間帯の範囲内、限定がない場合は時間帯の制限はない。
注※2 就業可能な時間数は労使協定の標準となる1 日の労働時間による定まる。
例えば、標準労働時間が7時間、 14 日間の産後パパ育児休業(所定労働日数は 10 日)の場合、7(時間) × 10(日) ÷2で 35 時間が就労させる時間の上限。
ご注意いただきたいのは、労働者の判断で事前に合意した最大幅の時間数よりも少ない時間数で就業することは可能という点。
2.事業場外労働
Q6-15:事業場外労働のみなし労働時間制での産後パパ育休中の部分就業。
A6-15:可能。
具体的には、以下の2つの方法が考えられます。
1)事業場外における労働時間を算定しがたい業務に引き続き従事させ、労働者を事業 場外みなし労働時間制の対象としつつ、産後パパ育休中の部分就業の対象とする。この場合は、以下に留意。
・ 事業主は、必要に応じ業務内容・量の削減などを行い、労働者が同条第4項において特定される日時の範囲を超えて就業することがないことを実際に確保 することが必要であり、単にみなし労働時間を見直すだけで、同項において特定され る日時の範囲に見合う業務内容・量となっていない場合は適法に産後パパ育休中の部分就業を行わせたとは評価されない。
・ 産後パパ育休中の部分就業を行う日についてみなし労働時間を変更するときは、当該労使協定を変更する必要がある。
2)一時的に別の業務に従事させ、事業場外みなし労働時間制の対象から外す。
3.裁量労働
Q6-16:裁量労働制での産後パパ育休中の部分就業。
A6-16:裁量労働から外さなければならない。
理由として
1 裁量労働制は、業務の遂行の手段や時間配分などについて使用者が具体的な指示・ 管理をせず、労働者本人の裁量に委ねる必要がある業務について、実際の労働時間にか かわらず、当該業務に必要な労働時間として定められた時間労働したものとみなされる 制度であること。
2 業務の遂行を労働者の裁量に委ねる こととされており、かつ、実際の労働時間数を把握しないことと なっている。
裁量労働では、予め合意した就業日時の範囲内で就業することとなっている 産後パパ育休中の部分就業を行いながら裁量労働制の適用を続けることはできないというのが厚生労働省の結論です。
以 上