「過重労働解消キャンペーン(厚生労働省)」の実施結果から
厚生労働省は毎年11月に過重労働解消のキャンペーン運動を実施、その結果を翌年発表しています。
昨年については、企業の労務管理に新型コロナウイルスがどのような影響を与え、それがどのような過重労働の傾向に繋がるのかという関心を抱いていました。
厚生労働省発表資料に、コロナ前の一昨年11月の同様の調査との比較表(下表)が掲載されていました。
本キャンペーンはもともと、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施されているものです。対象企業数を前年の8,904事業場から9,120に増やし、全国の労働基準監督署で調査した結果が以下の通りです。労働基準法の法令違反、特に違法な時間外労働や賃金不払いといった法違反件数は前年比減少していました。
厚生労働省の発表の詳細な分析結果や個別企業事例を見ても、新型コロナウイルスとの関係性の記述はありませんでした。
監督署指導の傾向を見ると、労働時間管理に関しては、「始業・終業時刻の確認・記録」が全体の6割を超えます。労働時間管理方法が自己申告による場合の実態の調査がこれに続きます。ともに実働時間の把握と言う労働時間管理の初歩的な部分で躓いているように思えます。
健康障害防止のための指導状況は、時間外労働に休日労働を加えた時間数を月45時間以内とすることへの縮減指導です。このキャンペーン時期以外の労働基準監督署の健康障害にかかる労働時間指導でも、同様に月45時間基準での指導を行っています。確かに月45時間を超えると健康障害リスクが徐々に高まるとは言われていますが、一方で80時間を超える産業医等医師への面接指導条件も踏まえると、月45時間という時間設定で、監督署が45時間で指導するというのはやや厳しすぎる、バランスがとれていないようにも思います。
残業時間は少ないほど良い事には間違いはありませんが…
本記事の出展が https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000775261.pdf となります。ご関心ある方、詳しい情報を入手されたい方は厚労省HPをご参照ください。
以 上