新しい裁量労働対応詳細 – 令和6年4月からの改正労働基準法施行規則
頭書の件、厚生労働省よりいくつかの点で詳細が発表されました。
1.裁量労働適用の同意を撤回した社員。
会社の人事制度では、裁量労働非適用者の社内等級が適用者のものより低いため、等級が下がり基本給の減額や手当の不支給となった場合については、「撤回を理由とする不利益取扱いには当たらない」との厚生労働省見解がでました。
PMPでは、今年春以降、複数の労働基準監督署に同様の質問を投げかけていました。回答にはバラつきがあり、また一方で行政としてはかかる問題で労働者からの相談となる前に企業サイドで解決して欲しいという意見に出会うこともありましたが、これで明快となりました。
詳細は 令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A の Q2-3とQ2-4となります。
2.この「同意」は、労使協定・決議ごとにとる必要があります。
各社からの目下の照会は、既存の専門業務型裁量労働適用者に対して来年3月31日までに同意を取り付ける点に集中していますが、この同意は、「協定又は決議の有効期間ごとに取得する必要がある」とされ、この度毎に、裁量労働制の制度の概要等について使用者が労働者に対し、「明示した上で説明」して、当該労働者の同意を得るとしています。
「明示した上で説明」とは具体的には、質疑応答の機会を与えた説明会(WEB開催も可)などが適当とされています。
多くの企業の専門裁量労働の労使協定は36協定を踏襲したのか、期間1年が多いようですが、まずは1年に拘らず各社にとって適当な協定期間を検討してください。厚労省はQ&Aでは「自動更新は認めず、労使協定及び決議の有効期間については、3年以内とすることが望ましい。」としています。3年も通達を根拠としていますが、望ましいに留まっています。
令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A の Q1-4・5・6・7とQ8-3を参照してください。
3.専門業務型裁量労働に企画業務型裁量労働の労使委員会の活用が認められる様になりました。なお、この場合は、労使協定が不要となり、労使協定届の労働基準監督署への届出は当然不要となります。
厚生労働省通達 基発0802第7号: 労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施 行規則の一部を改正する省令等の施行等について(裁量労働制等)
法第38条の4第1項(=企画業務型裁量労働)に規定する委員会(以下「労使委員会」という。)の導入 専門業務型裁量労働制を導入するに当たっても、その運用期間中 においても、定期的に実施状況に関する情報を把握し、適用労働者 の働き方や処遇が専門業務型裁量労働制の趣旨に沿ったものとなっているかを把握・調査審議し、必要に応じて運用の改善を図る等の 観点から、労使委員会を活用することが望ましいこと。労使委員会 を設置する場合には、企画業務型裁量労働制において企画指針で示 されたものと同様の措置等を講ずることが適当であること。
4.専門業務型裁量労働協定届・企画業務型裁量労働決議届と報告届(初回は6か月以内、その後は1年以内ごと)の様式は以下の通りです。
専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号) ←裏面「記載心得」はこちらご参照
企画業務型裁量労働制に関する決議届(様式第13号の2) ←裏面「記載心得」はこちらご参照
企画業務型裁量労働制に関する報告書(様式第13号の4) ←裏面「記載心得」はこちらご参照詳しくは以下のパフレットをご参照ください。
・専門業務型裁量労働制について
・企画業務型裁量労働制について
・専門業務型裁量労働制の解説
・企画業務型裁量労働制の解説
以 上