日本の労働時間管理の現状 – 令和5年就労条件総合調査結果から
厚生労働省から、全国の正社員(期限の定めのない労働者)の就労条件の調査結果が公表されました。PMPでは特に労働時間を焦点に絞りその概要をご案内いたします。この調査は常用労働者30人以上の民間企業を対象に、6,421社を抽出して令和5年1月1日現在の状況等について調査を行い、3,768社からの有効回答を取りまとめたものです。
詳細は、厚生労働省ホームページ『令和5年就労条件総合調査の概況』をご参照ください。労働時間以外には、賃金制度や退職金制度についての調査結果があります。
3次産業従事者数が就業者数の3分の2近くとなり、報酬の原則を考える際、単なる労働時間をベースとすることは不適当な働き方が珍しくない日本ですが、みなし労働時間制を採用している企業割合は 14.3%(令和4年調査 14.1%)に過ぎません。労働基準法の厳しい労働時間規制による働き方が圧倒的多数を占めているのが現状です。みなし労働時間制の種類(複数回答)別にみると、「事業場外みなし労働時間制」が 12.4%、「専門業務型裁量労働制」が 2.1%、「企画業務型裁量労働制」が 0.4%となっています。ホワイトカラーはExempt扱いが当たり前の国と比べれば、これだけで競争では随分と不利となっているはずです。
一方で、政府が盛んに導入を勧めようとしている勤務間インターバル制度については、導入予定はなく、検討もしていない企業が前年の80.4%から81.5%に増えています??この程度の差は誤差の範囲内かもしれませんが・・・
導入予定はなく、検討もしていない理由(複数回答)別の企業割合をみると、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が 51.9%(令和4年調査 53.5%)と最も高くなっている一方で、「当該制度を知らなかったため」の全企業に対する企業割合は 19.2%(同 17.1%)と、これも前年より増加となっています。
変形労働時間制の適用を受ける労働者割合は 51.7%(令和4年調査 52.1%)、その内で「フレックスタイム制」は 10.6%。みなし労働時間制とフレックスタイム制を“弾力的労働時間制度”と纏めてみると、日本で弾力的な労働時間の下で働く人は、全体の24.9% – 要は4社に1社しか弾力的な働き方はできないというのが現状のようです。
労働時間全般、年間休日日数や年次有給休暇、特別休暇についての調査結果は以下の通りです。実際はなかなか厳しいというのが日本の就労条件のようです。
以 上