心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正
厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し9月1日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛に通知しました。
通達名は「心理的負荷による精神障害の認定基準について」通達番号は 基発0901第2号 となり、これに伴い平成23年通達は廃止されました。
改正は、近年の社会情勢の変化等を踏まえて、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」で検討され、今年7月に報告書として取りまとめられたことを受けてのもの。厚生労働省からは、業務により精神障害を発病された方に対して、改正後の本基準に基づき、一層迅速・適正な労災補償を行っていくとのコメントもありました。
心理的評価表等をより明確にすることで、今まで以上に適切な認定、審査の迅速化、請求の容易化を図ろうとしています。
【認定基準改正のポイント】
1.業務による心理的負荷評価表の見直し
① 具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加。
② 具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加。
③ 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充。
例えば、
☑パワーハラスメントの6類型すべての具体例、性的志向、性自認に関する精神的攻撃等を含むことを明記。
☑一部の心理的負荷の強度しか具体例が示されていなかった具体的出来事について、他の強度の具体例を明記。
☑実際に発生した業務による出来事を、心理的負荷評価表が示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価。
2.精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
改正前は悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」(特に強い心理的負荷となる出来事)がなければ業務起因性を認めていない という扱いを改め悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める としました。
3.医学意見の収集方法を効率化
改正前は、専門医3名の合議により決定していた事案について、改正後は、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更しました。
以 上