日本の実質賃金、さらなる引き上げが求められるか?
今年の春闘の結果は
7月5日、連合が2023年の春闘の結果を公表しました。
5,272 組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で3.58%(昨年同時期比+1.51%)、金額では10,560 円(同比+4,556 円)という結果です。
その内、中小企業(300 人未満)では3.23%(同比+1.27%)、8,021 円(同比+3,178 円)。
連合は、「闘争以降で最も高く、労使が中期的視点を持って粘り強く交渉した結果であり、“未来につながる転換点”となり得るものと受け止める。」という総括をしています。
一方の経団連(日本経済団体連合)。例年、経団連からの発表は8月ごろとなりますが5月に第1回目の集計結果を公表していますので、そちらをご案内しましょう。
「2023年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況〔了承・妥結含〕(加重平均)」。
詳細は5月24日付PMP News 2023年賃上げ動向 – 中間報告(経団連) をご参照ください。
定期昇給を含む月例賃金の引き上げ額は、平均(回答92社)で13,110円、賃上げ率は3.91%となっており、こちらも賃上げ額、賃上げ率ともに、1993年(平成5年)以来、30年ぶりの高水準と纏めています。
低下に歯止めが利かない実質賃金の動き
7月7日、厚生労働省は速報ベースの毎月勤労統計調査2023年5月分結果を発表しています。下のグラフをご参照ください。
インフレをカバーするだけの賃上げとはならず、実質ベースの賃金は前年比マイナスの傾向に歯止めが利かないという傾向が一昨年4月から続いています。
2024年も引き続き、従来水準を超える賃金引上げが求められる!?
6月30日、厚生労働省の中央最低賃金審議会は2023年度の最低賃金引き上げについて議論を開始しました。
岸田政権は、以前から、現在の最低賃金の全国平均時給 961円を1,000円までに引き上げることを目指すしています。
審議会では、昨今の急激な物価上昇を考慮して引き上げ額を調整する予定です。7月末までには引き上げの目安額がまとめられることになると思いますが、中小企業傾斜からの悲鳴が聞こえてきそうですが、過去最大の引き上げ幅により時給1,000円に到達する可能性も十分あります。
また賃上げとインフレーションとの関係性は、インフレ先行となるとと言う点を考えれば2024年も今年と同様に従前を超える賃上げが続くと予想されるのではないかと考えます。
少なくとも、政府は今年と同様、官主導のベア組成に意欲を燃やすはずです。
以 上