速報:異次元の少子化対策 – 企業人事の関連は?

速報:異次元の少子化対策 – 企業人事の関連は?

6月13日岸田総理が国民に直接語りかけた異次元の少子化対策、マスコミでは財源の曖昧さを懸念する報道が中心でした。
財源が確保できなければ、対策のいくつかは実施が見送られるかもしれませんが、ここでは企業、特に人事に関連する事項にハイライトを当ててご案内します。

企業によっては、国に先駆けて自社の“少子化対策”に取り組まれているかもしれません。あるいは今まさに検討中の企業もあると思います。
政府の考え方、具体的に何をしようとしているかは、企業、特に人事にとっては大切な情報であると考えます。
以下が、PMPがピックアップした異次元の少子化対策の内で企業人事が特に直接関係のある部分です。

なお、異次元の少子化対策全文は こちら の方針案をご参照ください。

(1)若い世代の所得を増やす

最重要課題である「賃上げ」に取り組む。
2つの好循環を目指す。
①「成長と分配の好循環」 ➡ 成長の果実が賃金に分配され、セーフティネット等による暮らしの安心の下でそれが消費へとつながる
②「賃金と物価の好循環」 ➡ 企業が賃金上昇やコストを適切に価格に反映することで収益を確保し、それが更に賃金に分配される

次に、「一人ひとりが自らのキャリアを選択する」時代と位置づけ
労働者の主体的な選択による職業選択、労働移動が、企業と経済の更なる成長につながり、構造的賃上げに資するものとなるよう、リ・スキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、成長分野への労働移動の円滑化という三位一体の労働市場改革を加速するとしています。続けて、L字カーブの解消などを含め、男女ともに働きやすい環境の整備、「同一労働同一賃金」の徹底と必要な制度見直しの検討、希望する非正規雇用の正規化を進める。

(具体的な加速化プランの中でPMPがピックアップしたものは以下の通り)
企業経由の在職者向け学び直し支援策を、5年以内を目途に効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにしていく
教育訓練給付について、補助率等を含めた拡充を検討。個々の労働者が教育訓練中に生ずる生活費等への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるよう、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などについて検討。

また、雇用のセーフテ ィネットを構築するため、週所定労働時間 20 時間未満の労働者に対する雇用保険の適用拡大について検討し、2028 年度までを目途に実施する。
また、いわゆる 106 万 円・130 万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げに取り組むことと併せて、被用者が新たに 106 万 円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせないための当面の対応を本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。
その上、当面の対応として、被用者が新たに 106 万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対し、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、 必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行する。


(2)社会全体の構造・意識を変える  働き方改革をさらに進めるとしています

こどもまんなか社会に向け、企業や男性、地域社会、高齢者や独身者を含めて皆が参加して、社会全体の構造や意識を変える。
企業も、出産・育児の支援を投資と捉え、職場の文化・雰囲気を抜本的に変え、男性、女性ともに、希望どおり、気兼ねなく育児休業制度を使えるよう にしていく必要がある。特に、企業のトップや管理職の意識を変 え、仕事と育児を両立できる環境づくりを進めていくことが重要。
同時に、育 児休業制度自体についても、多様な働き方に対応した自由度の高い制度へと強化する とともに、職場に復帰した後の子育て期間における「働き方」も変えていく必要がある。

働き方改革
は、長時間労働の是正により夫婦双方の帰宅時間を早め、育児・家事に 充てる時間を十分に確保することや、各家庭の事情に合わせた柔軟な働き方を実現す ること等につながる。事業主にとっても、企業の生産性向上や労働環境の改善を通じた優秀な人材の確保といった効果がある。加えて、延長保育等の保育ニーズの減少を通じて社会的コストの抑制効果が期待 される。さらに、価値観・ライフスタイルが多様となる中で、子育てに限らない家庭生活における様々なニーズや、地域社会での活動等との両立が可能とな るような柔軟で多様な働き方が普及することは、全ての働く人にとってメリットが大きい。このため、特に、働き方改革の実施に課題のある中小企業の体制整備に向けた 取組を強力に後押ししていくことが必要である。
 育児休業を取りやすい職場づくりと育児休業制度の強化、この両方があって、子育て世帯に「こどもと過ごせる時間」を作ることができ、夫婦どちらかがキャリアを 犠牲にすることなく、協力して育児をすることができる。

(具体的な加速化プランの中でPMPがピックアップしたものは以下の通り)
・男性育休の取得促進 ~「男性育休は当たり前」になる社会へ~ として、男性の育児休業取得率目標を引き上げています。(男性の育児休業取得率の目標)
  2025 年 公務員 85%(1週間以上の取得率)、民間 50%
  2030 年 公務員 85%(2週間以上の取得率)、民間 85%

・次世代育成支援対策推進法を改正、その期限を延長させ、一般事業主行動計画について、数値目標の 設定や、PDCA サイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」である という観点を明確化した上で、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り 込まれるようにする。
育児・介護休業法も改正、育児休業取得率の開示制度の拡充を検討、その上で有価証券報告書 における開示を進める。

・「産後パパ育休」給付率を2025 年度からの実施を目標に現行 の 67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで 10 割相当)へと引き上げる。なお、女性の産休後の育休取得も産後パパ育休期間と同じ期間=28日間を限度 に給付率を引き上げる。

・育児 休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。
業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額、「くるみん認定」の取得など、各企業 の育児休業の取得状況等に応じた加算等を検討し、実施インセンティブの強化を図る。

・育児時短勤務に伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付(「育児時短就業給付(仮称)」)を創設する。2025 年度からの実施を目指す。

・子が3歳になるまでの育児容易措置にテレワークを事業主の努力義務の対象に追加する。

・3歳以降小学校就学前までは、柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を 選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方 制度(仮称)」)を創設する。さらに、残業免除(所定外労働の制限)は対象となるこどもの年齢を(現在3歳まで)を引上げる

・「子の看護休暇」はこどもの年齢の引上げ、こどもの行事(入園式等)参加や感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事 由の範囲を見直し取得促進に向けた支援についても検討する

・仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守るため、企業における 勤務間インターバル制度の導入やストレスチェック制度の活用など、労働者の健康確 保のために事業主の配慮を促す仕組みを検討するとともに、選択的週休3日制度の普及にも取り組む

(3)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

幼児教育・保育について、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移す。
特に妊娠・出産期から0~2歳の支援を強化し、妊 娠・出産・育児を通じて、全ての子育て家庭の様々な困難・悩みに応えられる伴走型 支援を強化する。

3つ目の柱は、企業単位ではなく社会としての少子化対応が中心のようです。

以    上