5月8日以降、コロナ感染した社員の扱いはどうなるか? – 新型コロナウイルス関連#98
5月8日より新型コロナウイルスの感染症予防上での分類が2類から5類に変更されることに伴い、政府の新型コロナウイルス対策の「基本的対処方針」が廃止され、この実行母体であった政府の対策本部も廃止されます。
また、同日付で、基本的対処方針に基づく、イベントの開催制限、施設の利用制限、また各社のガイドラインのベースとなっていた経団連の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを含むすべての業種別ガイドライン等々も廃止されます。
1.まずは、8日以降の原理原則を整理しておきましょう。
2.関連して、厚生労働省のコロナ関連の企業向けQ&Aが更新されました。
まず、以下のQ&Aが追加されています。
Postコロナで出勤回帰の動きが目立つようになっています。その際には、コロナ期間中の緊急回避措置としてのテレワーク制度が、導入の際に下記Q&Aにあるような労働者が任意にテレワークを実施できるような仕組みとなっていなかったかは念のため再チェックしてください。
また社員の中には、テレワークを既存の労働条件として誤解している方もいるかもしれません。
何れにしろ、企業が社員に働き方の変更を求める際には、変更の理由や変更に伴う経過措置を含めた十分なコミュニケーションが必要であると思います。(厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け) – 抜粋)
2 – 問3 )新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更されたことを理由として、使用者から一方的にテレワークを廃止し、出社を求めて良いですか。
(回答)雇用契約や就業規則において、労働者が任意にテレワークを実施できることが規定され、労働条件となっているのであれば、その規定に従う必要があり、原則として使用者が一方的にテレワークを廃止し、出社させることはできません。テレワークは、新型コロナウイルス感染症対策にとどまらず、通勤時間の短縮及びこれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境での業務の実施による業務効率化、時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立といった労働者にとって仕事と生活の調和を図ることが可能となるといったメリットがあります。
また、使用者にとっても、業務効率化による生産性の向上、育児や介護等を理由とした労働者の離職の防止、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスコストの削減等のメリットがあります。
このように、テレワークは、労働者と使用者の双方にとって様々なメリットのある制度であることから、その取り扱いについては使用者と労働者の間でよく話し合っていただくことが望ましいと考えられます。
これ以外には、4- 問13)小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援(両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例)、4- 問14)介護施設等の臨時休業等に伴う労働者の休暇取得支援(休暇を合計5日以上労働者に取得させた事業主に対する両立支援等助成金 介護離職防止支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例)、4 – 問17)新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援、がそれぞれ更新されました。
また、5月8日以降はすべて個人の判断となる事から、4 – 問18)保育所への登園自粛を要請された場合の対応、4 – 問19)自主的に保育所への登園を自粛した場合の対応、についてのQ&Aが削除されました。
3.最後に
とは言え、コロナが消滅したわけでもなく、感染力は相変わらず強く、感染者は今夏急増の見通しも聞かれます。
過去の季節性インフルエンザなどの場合を振り返ると、高熱で仕事ができない体調である場合など、社員からの申し出による有給休暇取得での対応が多かったように思います。
新型コロナは無症状あるいは軽症の場合も少なくありませんが、この場合でも周囲に感染させるリスクがあります。
職場には基礎疾患を有する社員や、高齢の方々もいます。
職場の健康管理を考えれば、感染者は自宅待機すべきです。厚生労働省は発症後感染力の強い少なくとも5日間は自宅待機を勧めています。
社員がコロナ感染した場合、会社は社内での感染予防の観点から、社員の個人の判断に委ねるのではなく自宅待機を命ずることもあると思います。在宅勤務もできない場合、無症状あるいは軽症で本人は十分働ける健康状態である場合、あるいは本人は働きたいとする場合、会社からは休業命令を出すことになります。
その時の原則的考え方は、厚労省企業向けQ&Aの以下の問 で発信済です。この機会に再度押さえておくことをお勧めします。
<休業させる場合の留意点>
4 – 問1)新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
(回答)新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、休業期間中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心し休むことができる体制を整えていただくようお願いします。
休業期間中の賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
また、労働基準法においては、平均賃金の100分の60までを支払うことが義務付けられていますが、労働者がより安心して休むことができるよう、就業規則等により各企業において、100分の60を超えて(例えば100分の100)を支払うことを定めていただくことが望ましいものです。
以 上