改正育児介護休業法 #4 「施行規則・告示の改正 来年4月施行分」
今年6月に改正された育児休業法(改正法は来年4月・10月、再来年4月の三段階で順次施行されます)の施行規則並びに関連する告示の改正が、この度厚生労働省から発表されましたのでご案内します。
なお、同法改正については、過去のPMP News 6月4日号、6月10日号、 7月7日号もご参照ください。
来年4月施行開始の改正法内容の準備のために
改正法の全体像は以下の通りですが、まず、来年4月から施行される、下図全体像の「2.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務付け」と「5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」についての省令・告示が改正されました。
雇用環境の整備については、これまでは、“研修、相談窓口の設置等”としていた解釈を掲記の通りの4つの選択肢という具体例を掲げています。
筆者が注目するのは、③ “自社の事例の収集・提供” という措置です。社内の育児休業取得の成功事例をモデルケースとして紹介する(成功事例に限るものではありませんが・・・という試みは、これまでともすれば社内のInformalな口コミ情報で限定的にまたは特定の社員間に伝えられてきた情報を会社のノウハウとして整理し蓄積し提供していくのは推奨できると思います。
なお、注意喚起すべきは、“複数の措置を講じるのが望ましい”との注釈。これまで、かかる場合は、“何れかの措置を講ずれば良い”という指導だった記憶があります。その意味でも、行政は企業にこの件については積極的取り扱いを求めているように思います。
個別の周知について、周知すべき事項は掲記の4つの事項となります。周知の方法は特にコメントの必要はないと思いますが、関係する省令(厚生労働省令第169号)の改正前後の比較表をみると、改正前“電気通信回線を通じて事業主の使用に係る通信端末機器に送信する”と言う表現を、改正後“電子メール等の送信”と言う表現に改めています。今回2つの厚生労働省令が改正されていますがそのうちの1つはこの改正です。
最後に、これらは来年4月1日からの施行となりますが、産後パパ育休については来年10月1日から対象となります。
産後パパ育休! ~ 閑話休題 ~
今回の育児休業改正の目玉は、男性社員が子の出生後8週間以内に4週間まで、通常の育児休業とは別に取得できる新しい育児休業ですが、今回、厚生労働省はこれを“産後パパ育休”と命名したようです。なお、法律上は、これを出生時育児休業と名付けています。
もう一つの来年4月から施行される改正内容は、有期雇用労働者、いわゆる契約社員の育児並びに介護休業の取得要件の緩和です。
これは、すでに過去のPMP Newsでもコメントしていますが、※にある労使協定の締結により引き続き除外可とあります。いわゆる正社員の育児・介護休業でも標準的には労使協定により除外としていると想像しますので、有期・無期の社員を労使協定で同じ取り扱いとすることで労務管理上は問題ないと思います。
ご注意いただきたいのは、現在の契約社員育児休業規程の取得要件の記載が法令通りとなっている場合は、改正法に従い規程の改定手続きが必要となります。また労使協定の締結は来年4月1日前に終了させておかないと、除外できない契約社員が出現するリスクがあります。早めに対応が必要です。
来年10月1日から施行される改正内容については次号でご案内します。
また、厚生労働省は令和3年9月末時点版という注釈付きの今回の発表ですので、今後さらなる改正ポイントの発表が行われる可能性も否定できません。早く全体像を明らかにしていただきたいと思います。
今回の詳細は以下をご参照ください。
リーフレット_育児_介護休業法改正のポイントのご案内
厚生労働省令第169号
厚生労働省告示第365号
以 上