新型コロナウイルスが与えた労働市場への影響 その2
7月22日の PMP News Letterと同じく、休業者数や失業に関する最新の労働統計を参照して、新型コロナウイルスが日本の労働市場に与えている影響の最新の姿を見てみましょう。前回は5月までの労働市場のデータでしたが、今回はこれに6月並びに7月のデータを加えてみます。
休業者数は4月をピークに減少傾向に転じました。新型コロナの影響のなかった前年の休業者数に比べると、7月220万人は前年同月に比べ+34万人(+18.3%)という状況。まだ休業者が多いというのが現状のようです。
業種別休業者数の推移をみると、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた宿泊飲食サービス業の休業者数が4月105万人をピークに、5月79万人、6月・7月、28万人・22万人と減少傾向。7月は1年前と同数との結果です。
失業については昨年平均160万人程度の完全失業者数が、2020年5月以降、197万人、195万人、196万人と増加基調が続いています。失業率も5月以降はおおむね2.8~2.9%程度と例年に比べて0.5%ほど悪化しています。
また厚生労働省は新型コロナウイルス感染症を原因とする雇用調整の可能性のある事業所数の見込みを時系列で捉えています。直近8月28日付けで84,220の事業所が雇用調整を行う見込みであるとの事です。
同様の調査で厚生労働省は新型コロナウイルスを原因とする解雇見込みの労働者数も発表しています。時系列で解雇者数は積み上がるため、増加するのはやむを得ないが、解雇見込み総労働者のうち非正規労働者の割合が、5月、6月、7月、8月と順に14.1%、32.0%、39.5%、43.3%と増えている点が気にかかります。
また下のグラフは直近8月29日付の厚生労働省の新型コロナウイルスを原因とする解雇見込みの労働者数の業種別内訳。労働者の多い製造業を筆頭に、新型コロナウイルスの影響が大きいと思われる宿泊業、飲食業が続くというのが現状の姿のようです。
全体の失業者数も5月に急増し、未だ改善されていない状況であり、新型コロナウイルスの感染の収束見通しがつかない現状を考えれば、厚労省が発表するコロナ解雇者数はまだまだ積み上がっていくものと思われます。
全国の保健所など過重労働の報道もあります。ニューヨークの新型コロナウイルス感染者のTrackerのようなJobを作り多少なりとも失業者救済に充てるというような対応をとることで、少しでも失業者の職場復帰の工夫を行う事はできないのだろうか?
以 上