労災認定件数 – 新型コロナウイルス対応 #51
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けての具体的な政策が呈示されないまま時間ばかりが経過しているように思えます。
PMP News Letterでフォローしていた厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)のホームページも7月10日以降、何の更新もされていません。
そんな中で、厚労省が新型コロナウイルスを原因とする労災実績件数は本省事務方がコマ目に件数を追いかけて発表しているようです。
*偶々昨日厚労省HPを確認したところ8月20日時点の計数でしたが、この原稿を書き終えた翌日には8月21日の計数に変更されていました。労災の実態把握は大切ですが、ここまでコマ目に作業をする必要性はあるのでしょうか?新型コロナウイルスの感染拡大防止の主管庁として他にやるべきことがあるようにも思いますが…
下表をご参照ください。以前のPMP News Letterでは7月9日付けで新型コロナウイルスの労災実績についてご案内していますので、その期間の変化についても一覧に纏めてみました。
医療従事者の方々の労災決定件数が他の業種に比べて群を抜いています。新型コロナウイルスの感染リスクにさらされながら頑張っていただいている事が、この計数の動きからも推察されます。
また注意を呼ぶのは、医療従事者に分類されている、社会福祉や介護事業等の労災決定件数が7月9日では6件だったのが、46件に急増している点です。またこのデータは労災ですので、例えば介護施設に入所されている方々が新型コロナウイルスに感染したとしても、このデータには含まれません。介護施設ばかりでなく、保育園も含めた典型的な3密の対人サービスを提供する施設については、特別な感染予防策を講じる必要性を思わせる実績のように思います。
医療従事者以外の業種では、医療事業で直接医療事業に携わらない方々の労災認定件数が最も多いようです。やはり医療施設の感染リスクが最も高く、医療施設についても介護や保育と同様、ある意味ではそれ以上に徹底的な感染予防対応が必要となります。
運輸・郵便業の労災決定件数も8月21日8件と、医療従事者以外の事業従事者の中では多いと言えます。当該事業会社の人事諸氏には、特段の注意喚起をしたいと思います。
なお、厚労省発表のデータには、8月21日現在の978件の労災請求件数のうち、死亡事例は14件、労災決定件数410件のうちでは2件が死亡案件(2件とも労災保険は支給済)となります。
以 上