新型コロナウイルスが与えた労働市場への影響

新型コロナウイルスが与えた労働市場への影響

7月に入り、5月までの労働市場の統計データが発表されました。
今回、普段であればあまり注意を払わない休業者のデータに着目しました。

新型コロナウイルスに関するこれまでの出来事を振り返ってみます。
1月28日 日本人で最初の感染者。武漢からのツアー客用観光バスの運転手。
2月5日 横浜港に寄港したダイヤモンドプリンセス号。感染者数は712名。
3月2日 安倍総理。全国の小中高校を春休みまでの臨時休校の措置。
3月24日 IOCにて東京オリンピックの延期が決定。
4月7日 東京等7都道府県に5月6日まで緊急事態宣言
4月16日 緊急事態宣言の全国拡大 
5月4日 緊急事態宣言の5月末までの延長
5月14日 34県の緊急事態宣言の解除
5月21日 大阪・京都・兵庫 解除
5月25日 残りの東京等の解除
この時系列の出来事を踏まえて上のグラフをご参照ください。
平常時であれば休業者総数は150万人から200万人の間でほぼ安定的にの推移していますが、3月に50万人増、4月は前月の2.4倍の597万人、5月若干減少したものの423万人と高水準が続いています。また正社員と比べると非正規社員の休業者数の増加が際立っている事もわかります。

その休業者の業種別内訳をみると、上記グラフで示した、宿泊飲食サービス業を筆頭に卸売り小売業、製造業、教育関連産業、福祉関連産業、生活関連サービス業の6業種でほぼ6割の休業者を占めています。新型コロナウイルスにより大きな被害を受けた産業であると言えましょう。

下記のグラフは同じく総務省の労働力調査(基本集計)からのものです。これによれば、やはり新型コロナウイルスの影響で失業率(季節調整値)は4月2.6%、5月2.9%と悪化しているとしています。

完全失業率

 そこで最後にApple to Appleではないものをあえて足し合わせてみました。

新型コロナウイルスの影響で失業者が増えているのは確かですが、5月の完全失業者数でも実数は197万人です。対して休業者数は4月597万人、5月423万人です。

企業が雇用維持に頑張っているとも言えますし、実は、苦しんでいる企業にそろそろ国からの強力な助成がないと、失業者数は今後さらに増える可能性も否定できないのではと言う事ができるようにも思います。

※注:グラフのもととなったデータは全て総務省労働力調査によるものです。

以 上