同一労働同一賃金の判例を振り返る

同一労働同一賃金の判例を振り返る

通常国会は肝心の重要法案が審議されない異常な状態が続いていますが、働き方改革関連一括法案にもある同一労働同一賃金について最近の個別判例を纏めてみました。

上記一括法案には同一労働同一賃金の元となる労契法第20条に関係する法改正も含まれてはいますが、現行の労契法第20条の考え方は踏襲されると予想されますので、以下に取りまとめた労契法第20条に関する判例の傾向は、そのまま参考とされて良いと思います。

日本郵便は東京、大阪、佐賀で争いがありましたが、各地裁判断は一様ではないように判例は個々の事案の事情に基づく個別判断であるため、これらを纏めて同列に論ずることも正確ではありません。とは言え、基本給格差は棄却される一方で、手当については厳しい判断であるという傾向は認められます。

また定年再雇用者の給与ダウンについての争いである長澤運輸事件は、当初見通しから1年近く遅くなりますが今夏にも最高裁判断が下される見込みです。

 注:労働契約法 (期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)  
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

同一労働同一賃金―労契法第20条関連判決一覧

事件名請求結論
16.07.26.ハマキョウレックス大阪高裁無事故手当、作業手当、無事故手当、
給食手当作業手当、
住宅手当、皆勤手当、通勤手当給食手当、
家族手当、一時金、定期昇給通勤手当
退職金
16.11.02.長澤運輸東京高裁基本給棄却
17.03.23.メトロコマース東京地裁基本給、賞与、退職金早出残業手当
早出残業手当等々
17.03.30.ヤマト運輸仙台地裁賞与棄却
17.06.30.日本郵便佐賀地裁基本給、通勤手当、棄却
年末年始手当
早出勤務手当、賞与、
夏季冬期休暇
17.09.11.日本郵便東京地裁病気休暇、休職制度棄却
17.09.14.日本郵便東京地裁外務業務手当、年末年始手当、年末年始手当、
早出勤務手当住居手当、
夏季年末手当、住居手当、夏季冬期休暇、
夏季冬期休暇、病気休暇
病気休暇
18.01.24.大阪医科薬科大学大阪地裁基本給、賞与、夏季特別休暇棄却
私傷病欠勤、医療費補助
18.02.01.九水運輸福岡地裁通勤手当通勤手当
(小倉支部)
18.02.21.日本郵便大阪地裁外務業務手当、年末年始手当、年末年始手当、
早出勤務手当住居手当、
夏季年末手当、住居手当、扶養手当
扶養手当